軽い鼻づまりの症状でも息苦しさを感じ、さらに慢性化すると生活や勉強・仕事などに支障をきたしてしまいますね。「鼻」は呼吸をするための大切な器官です。また、清陽の気(清らかな陽気)の出入り口で、嗅覚もつかさどっています。
漢方では、「臓器や器官は全体が密接に影響しあっている」と考えています。そのため、鼻の症状も体内の不調が要因となって起こると考え、体質を整えることで改善していきます。
鼻と特に関係が深いのは、呼吸を通じて関わっている「肺」です。肺が健やかに働いていれば、鼻の状態も良く、嗅覚は正常に保たれます。その他、食事の栄養から陽気を生み出し上昇させて鼻を養う「脾胃(胃腸)」、肺の働きと密接に関わる「腎」なども、鼻の状態と関係する臓器です。
『鼻がつまる』といっても、その原因はさまざま。あなたの原因に合わせた適切なケアをしていきましょう。
1.花粉症(アレルギー性鼻炎)
花粉症は、春(スギ・ヒノキなど)、秋(イネ科・キク科など)の花粉が原因で発症します。症状は、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみなどいろいろです。対策は、扶正祛邪(ふせいきょじゃ)。
扶正祛邪とは、身体の免疫力となる『正気(せいき)』を養い、身体に悪い影響を及ぼす『邪気(じゃき)』を取り除くことです。
ⅰ)予防
花粉症などのアレルギー性鼻炎は、『正気』の中でも身体の表面(皮膚・鼻のどなど)をバリアのように覆い、花粉やウイルスなどの侵入を防いでいる『衛気』を充実させることが予防の基本になります。
『衛気』を充実させるには、
①脾胃-衛気は、体内の『気(エネルギー)』をもとに生み出されます。元気な脾胃でしっかり飲食物の栄養を消化・吸収し、体内の気を十分に養うことが大切です。
〈食養生〉
脾胃の働きを整え、気を養う
米、大豆製品、山芋、かぼちゃ、豚肉、しそ、山椒の実、陳皮、しょうが、シナモンなど
②肺-衛気を全身に張り巡らせる働きがあるので、肺の働きを健やかに保つことも大切です。
〈食養生〉
肺を潤し、身体を温める
白きくらげ、白ごま、百合根、大根、きのこ類、鶏手羽、はちみつなど
③腎-腎は、生長・生育・生殖などと深い関わり、生命エネルギーの源である『精』を蓄える臓器。この『精』が減少すると、『正気』や『衛気』の不足につながりますので、高齢者・慢性疾患のある方は、日頃からケアしておきましょう。
〈食養生〉
腎を強くして精を養う
山芋、黒ごま、くるみ、松の実、クコの実、羊肉、えび、にらなど
ⅱ)鼻づまり・花粉症タイプ別対策
①風寒タイプ
花粉症の初期に多いタイプ。身体の冷えを感じやすいので、しっかり身体を温めて体内の冷えを追い払いましょう。
〈気になる症状〉
鼻づまり、透明な鼻水、くしゃみ、鼻やのどのかゆみ、寒気など
〈食養生〉
身体を温め、冷えを発散
しそ、ねぎ、しょうが、三つ葉、春菊、シナモンなど
②風熱タイプ
花粉症が長期化した時に多く見られるタイプ。不調が長引くと体内に熱が発生しやすくなりますので、身体の過剰な熱を冷ましましょう。
〈気になる症状〉
鼻づまり、粘りのある鼻水、のどの渇き、目のかゆみ・充血・皮膚のかゆみ・赤み、咳、黄色い痰など
〈食養生〉
身体の熱を冷ます
ミント、桑葉茶、菊花茶、きゅうり、ごぼう、セロリ、竹の子など
③風湿タイプ
水分代謝が悪く、体内に『湿(余分な水分や汚れ)』が溜まっているタイプ。このタイプは胃腸の弱い人が多いので、体内の湿を取り除きながら、胃腸の働きを整えましょう。
〈気になる症状〉
鼻づまり、鼻水の量が多い、目の腫れ、むくみ、頭重、身体がだるく重い、食欲不振、軟便など
〈食養生〉
余分な水分を取り除く
しそ、はと麦、どくだみ茶、ふき、もやし、冬瓜など
2.急性鼻炎(鼻かぜ)
①風寒タイプ
身体に風邪と寒邪が入り込み、身体が冷えることで起こるかぜの初期症状の鼻炎。飲食物・服装に注意して身体を温め、侵入した風邪と寒邪を早めに追い払いましょう。
〈気になる症状〉
鼻づまり、透明な鼻水、鼻声、悪寒、頭痛、節々の痛み、痰が白く薄いなど
〈食養生〉
身体を温め、邪気を発散させる
ねぎ、しょうが、葛、白菜、大根、三つ葉など
②風熱タイプ
身体に風邪と熱邪が入り込み、かぜの症状として起こる鼻炎。
体内の余分な熱を冷ましましょう。
〈気になる症状〉
鼻づまり、黄色く粘りのある鼻水、発熱、のどの痛み、頭痛、口の渇き、痰が濃いなど
〈食養生〉
身体にこもった熱を冷ます
菊花茶、ミントティ-、桑葉茶、ごぼう、れんこんなど
3.慢性鼻炎
鼻炎が長期化すると、鼻腔内の組織が厚くなり、そこに邪気が溜まりやすくなります。すると『気』や『血』の流れも停滞し、強い鼻づまりの症状が慢性化し、集中力を保ちにくくなり、日常生活にも支障がでてしまいます。気・血を養い、血流を良くしていきましょう。
〈気になる症状〉
強い鼻づまり、粘りのある鼻水、嗅覚の減退、痰が多い、耳鳴りや耳塞感を伴うなど
4.蓄膿症(慢性副鼻腔炎)
かぜやアレルギーなどが原因で、鼻の奥にある副鼻腔に炎症が起こり、膿が溜まった状態をいいます。一度発症すると治りにくく、長期化しやすいので、体質を根本から整えて症状を改善することが大切です。
〈気になる症状〉
鼻づまり、黄色や緑色などの膿のような鼻水、頭や頬の奥が重く感じて痛みが出てくる、鼻茸(鼻腔にできる良性のポリープ)ができる、進行すると嗅覚障害が起きるなど
①肺熱タイプ
蓄膿症の初期に多いタイプ。『肺』に熱がこもり、上記のような症状が現れます。長期化しないよう、早めに『肺』にこもった熱を取り除きましょう。
②脾胃湿熱タイプ
蓄膿症が長期化すると、過剰な『熱』に加えて『湿(余分な水分や汚れ)』も溜まるようになります。そのため、『脾胃(胃腸)』の働くも弱くなり、鼻の症状以外に倦怠感・食欲不振などの症状も現れます。体内に溜まった湿熱をしっかり取り除きましょう。
◆ 気になる後鼻漏(こうびろう)について
後鼻漏とは、鼻水がのどに流れ落ちてくる症状のこと。のどがイガイガ・不快感、いつも痰がからむ、咳が長引いているなどの症状も伴います。アレルギー性鼻炎、慢性鼻炎、蓄膿症(慢性副鼻腔炎)などが原因で、鼻水の量が増えると起こることがあります。原因となっている症状の改善とともに、体内にこもった熱と痰を取り除きましょう。
かぎや薬局
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