赤ちゃんがほしい!

漢方で『妊娠力』アップしましょう


1.不妊とは

赤ちゃんがほしいけれど、なかなか授からない・・・女性の社会進出などによる晩婚化や高年齢での出産が進む中、そんな悩みを抱える人が増えています。私自身も、第二子不妊や2度の流産を経験していますので、「今回も妊娠しなかった…」という現実は、本当に辛いものです。そして、女性の場合は年齢という壁もあるので、焦りなどストレスも溜まってきてしまいますね。

 

「不妊」とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないものをいいます。日本産科婦人科学会では、この「一定期間」について「1年というのが一般的である」と定義しています。不妊のカップルは約10組に1組と言われています。昔より不妊は「女性の問題」と思われてきましが、原因は男性と女性半々にあるとされています。

 

 

2.不妊の原因は?

不妊の原因は、女性側・男性側あるいはその両方に、また、原因不明の場合もあります

 

<女性側の原因>

  • 卵胞発育障害と排卵障害
  • 卵管障害
  • 子宮着床障害
  • 免疫異常

<男性側の原因>

  • 造精機能障害
  • 精路通過障害
  • 性機能障害
  • 精子機能障害

 

実際、不妊の原因は、1つではなく複雑な原因が複合的に絡み合うことが多いです。

 

 

3.漢方で『妊娠力』アップ!

『妊娠力』とは、女性と男性の両方に関わる総合的な生殖能力です。そのため、女性・男性ともに妊娠に向けた体質を漢方で改善して、『妊娠力』の高い身体づくりをしていきましょう。

 

●女性の方に

母体となる女性の身体は、妊娠そしてお腹の中で赤ちゃんを元気に育て、無事に出産するためにも心身ともに健やかに整えていくことが大切です。

 

①五臓の『腎』を養う

漢方では、女性の身体は、「7の倍数」の年齢で変化すると考えています。

上図は、五臓の『腎』の変化であり、妊娠力の変化とも言えます。つまり、女性の身体としての成熟期は21~35歳で、もっとも妊娠・出産に適した年齢となります。その後、加齢とともに妊娠力は低下していきます。五臓の『腎』とは、生殖機能や成長・発育・ホルモンの分泌免疫系全般のコントロールなど生命活動の根本を担っています。また、生命エネルギーの源である「精」を蓄えています。そのため、子宮や卵巣の働き・女性ホルモンの分泌など妊娠に関わる機能は、すべて腎が蓄える精の働きによるものです。つまり、腎が元気で精が充実していることが、妊娠力アップの基本です。食生活の乱れ・睡眠不足・ストレスなどは、腎精の消耗につながりますので気をつけましょう。

 

<腎精不足の主な症状>

不妊、生理不順、排卵障害、めまい、記憶力の低下、聴力の低下、耳鳴り、頻尿、腰痛など

<食養生>

身体を温め、腎精を養う(くるみ、松の実、クコの実、山芋、銀杏、もち米、えび、羊肉、黒豆、黒ごま、にらなど)

 

②周期調節法

漢方薬のかぎやでは、「周期調節法」を基本に考えて、妊娠力アップのための漢方薬をお選びしています。「周期調節法」とは、漢方の陰陽気血理論に基づき、女性の基礎体温・ホルモンの動態的な変動を参考とし、生理周期(生理期・卵胞期・排卵期・黄体期)ごとに漢方薬を用いていく方法です。ですので、ご相談にお出でいただく時には、基礎体温表をお持ちください。

 

③養生法

身体の冷えは、妊娠力の低下につながります。それは,血の巡りが悪くなり、

子宮や卵巣の働きが落ちてしまうからです。冷えを感じている方は、温活しましょう。

  • 食事-冷たい飲食は控えめに
  • 運動-適度な運動を習慣に
  • 入浴-シャワーで済ませず、毎日の入浴を
  • 服装-骨盤や腰回りを冷やさないように

特に、生理中は冷えやすいので、気をつけて

 

●男性の方に

近年、無精子症・乏精子症・運動率の低下など「妊娠させる力」が弱い方が増えています。まずは、きちんと検査してご自分の身体の状態を把握しましょう。そして、妊娠するためには・正常な性機能を持つこと・元気な精子があることが必要です。これらが低下すると、妊娠に大きな影響を与えてしまいます。ですので、男性の方も、心身ともに元気な身体をつくっていくことが大切です。

 

①五臓の『腎』を養う

女性同様、精子など妊娠に関わる機能は、すべて腎が蓄える精の働きによるものです。

漢方では、男性の身体は、「8の倍数」の年齢で変化すると考えています。

上図は五臓の『腎』の変化を表し、男性の身体としての成熟期は24~40歳で、40歳を過ぎると腎の力が少しずつ衰え始め、「腎虚」(腎精が不足する状態)の症状が出始めます。

 

<腎虚の症状>

腰がだるい・痛い、根気の低下、性欲の低下、集中力・記憶力の低下、髪が抜ける、歯がグラグラする など

 

ただ、40歳未満でも、過労、ストレス、夜更かし・過度な飲食・偏食などの生活習慣の乱れによって腎精が消耗され、「若腎虚」になることがあります。「若腎虚」とは、年齢の割に腎の働きが低下していることをいいます。これにより、精力減退・性欲低下さらには、乏精子症・精子無力症につながってしまいます。「若腎虚」にならないように、腎の力を強め、ホルモンバランスを整え、元気な精子を作れるようにしていきましょう。

 

②「瘀血」を改善する

「瘀血」とは、血の巡りが悪い状態をいいます。生活習慣、ストレスなどで血の巡りが悪くなると、精液精子の減少・精子の運動率の低下になります。生活習慣の改善、ストレスがたまらないよう心がけ、血の巡りをよくしていきましょう。

 

③養生法

  • 生活の安定、心身のリラックスを心がける
  • 十分な睡眠を
  • 禁煙
  • お酒を控える
  • 適度な運動
  • 適度な性生活を
  • 精子は熱に弱く、睾丸の温度が高くなると精子形成に悪い影響があるといわれています。熱いお風呂、長風呂、サウナ、きついパンツや服装の着用など高温環境は避けましょう。
  • 食養生―偏食、脂っこいもの、刺激物などは避け、バランスの良い食事を心がけましょう
  • 定期健診を受けましょう